2018.07.30
PR MEMO

カンヌライオンズで大きな賞賛!入国時、誓約書に署名必須!?の南の島国海外_PR事例vol.10

池永 千鶴

初夏、「今年もカンヌライオンズ終わりましたね」という会話がPRや広告に携わっている人の間ではよく交わされるかと思います。今年も6月18日~6月22日の5日間に渡ってフランスのカンヌで開催された「カンヌライオンズ」。受賞作品1186点の内、日本の受賞は21点でした。そこで、「カンヌライオンズ」と呼ばれる世界最大の広告・コミュニケーションのフェスティバルですが、そもそもどんな賞なのでしょうか?

 

正式名称は「カンヌライオンズ 国際クリエイティビティ・フェスティバル(Cannes Lions International Festival of Creativity)」であり、カンヌ映画祭と混同されることが多いですが、そもそもカンヌ映画祭の作品のプロモーションの広告コンクールとしてはじまったものが1954年に独立し、今のカタチとなりました。64年の歴史を誇る世界で最も注目される広告&Pコミュニケーションのフェスティバルで、多くのクリエーターの憧れの場でもあります。

 

そんなカンヌライオンズですが、そのアワードの構成は2018年からTracksという9つのカテゴリー(コミュニケーション、クラフト、エンターテイメント、エクスペリエンス、グッド、ヘルス、インパクト、イノベーション、リーチ)で分けられ、そのTracks内が更に細分化されて賞が構成されています。今年は120以上のサブカテゴリ―が廃止され、より分かりやすくなりました。

*グッドは近年のソーシャルグッドの流れを汲み”グッド(GOOD)”と集約したそうです

 

今回は、2018年、Tracksの中のReachに含まれるDirect Lionsに注目しました。Direct Lionsとは「具体的な反応と行動を引き起こさせる、ターゲットの絞れたダイレクトコミュニケーションが評価される」とあり、今年はパラオ共和国の「PALAU PLEDGE(パラオ誓約書)」が受賞しました。また、本プロジェクトはその他Sustainable Development Goals、Tituniumも受賞しています。

 

 

■プロジェクトinfo

受賞作品:PALAU PLEDGE(パラオ誓約書)

クライアント:Palau Legacy Project(パラオ政府とローカルのマーケティング専門家有志によるプロジェクト)

エージェンシー:Host/Havas

 

■プロジェクト概要

パラオ共和国は西大西洋のミクロネシアに位置する、500の島々かならなる国で、日本の成田からは直行便で5時間ほどで到着します。第二次世界大戦時には日本の統治下であり、親日家の方も大変多く、日本語の人名や言葉がいまだに受け継がれています。そのパラオですが、人口2万に程度の国に、毎年16万人以上の観光客が訪れ、その環境破壊は深刻な問題となっています。

 

このPALAU PLEDGE(パラオ誓約書)は、パラオの子供たちに自然豊かな国を保全し、残していくために、旅行者全員にこの誓約書に署名を義務付ける世界初の取り組みです。

その誓約書は観光客の大部分を占める国の5つの言語(英語、日本語、中国語、韓国語、台湾)に訳されており、入国時にパスポートにその誓約書のスタンプが押されます。旅行者は入国の際に、その誓約書を読み、下部に署名をします。これはパラオ共和国に入国するにあたっての「義務」であり、必ずその署名は求められ、その誓約書への違反が認められた場合には、最大100万ドルの罰金が課せられます。

 

 

PALAU PLEDGE(パラオ誓約書)※1

 

 

 

パラオ誓約書(和訳)※2

 

パラオの皆さん、

私は客人として、

皆さんの美しく

ユニークな島を保存し

保護することを誓います。

 

足運びは慎重に、

行動には思いやりを、

探査には配慮を忘れません。

 

与えられたもの

以外は取りません。

 

私に害のないものは

傷つけません。

 

自然に消える以外の

痕跡は残しません。

 

 

 

パラオ誓約書は多くの著名なセレブリティ(インフルエンサー)により称賛、拡散され、カンヌライオンズでも「世界一のクリエイティブ」と大々的に賞賛されました。その中には元アメリカ合衆国国務長官のケリー氏が署名し、そして賛同者ひとりには俳優のレオナルドディカプリオ氏などがいます。

 

以下、ディカプリオ氏のインスタグラムの言葉です:

 

「Proud to support the #PalauPledge, a new conservation initiative for visitors to this beautiful island. Written with the help of Palau’s children, every visitor must pledge to heal and secure the natural environment for future generations. Watch this clip from #BeforetheFlood and visit PalauPledge.com to learn more.」

 

(和訳:この美しい島を訪れるビジターのための新たな環境保存イニシアチブ「パラオ誓約」をサポートできることを誇りに思います。パラオの子供たちに向けて書かれたこの誓約では、すべてのビジターは、未来の世代のために自然環境を癒し、保護することを約束する必要があります。この#BeforetheFloodの動画を見てください、そして詳細はPalauPledge.comをご覧ください)

 

ディカプリオ氏のインスタグラムの動画はこちら7月30日時点で現在およそ98万回近く再生されています。

 

 

また、また、こちらはパラオ誓約書のコンセプトムービーです。ぜひご覧になってください

 

 

※3画像:プロジェクト広報資料より、コンセプトムービーのキャプチャー

 

 

■最後に

世界初の試みとして「入国の義務」のひとつとして施行されたことが何よりも大きな第一歩であり、パラオ共和国と同様の状況下にある国々にも大きな影響を与えるでしょう。日本も寺院、屋久島など世界遺産、世界自然遺産を多く抱える国である一方、その保全には多くの問題を抱えており、落書きニュースなどが度々報道されます。2020年までに観光立国として4000万人を呼び込むという計画がある中、国民ひとりひとりに働きかけ、意識改革を促すようなPRが必要となってくるでしょう。

 

 

※1画像:プロジェクトオフィシャル広報資料より

※2 出典:パラオ共和国領事館HPより

※3画像:プロジェクトオフィシャル広報資料より

池永 千鶴

化粧品メーカー等の商品企画を経て入社。主にB2Cのプロジェクトを担当。ブランド、商品、サービスの情報を広く認知させることだけでなく、「そのブランドのファン、企業のファン」となってもらうべく、市場参入時を含め、長期に渡る継続的成長を促す戦略構築を行う。