2018.05.02
PR MEMO

“AI”と“片づけ”に見る効率性の追求がもたらすもの_メディアウォッチ_vol.3

池永 千鶴

こんにちは Story Design house広報の池永です。

 

PR担当にとってメディア理解は必須です。当社は、テクノロジー系のスタートアップ企業から食品を扱うB to C企業といった幅広い業種におけるPR支援を行っており、メディア分析もそれに応じてビジネス誌からライフスタイル誌まで広範囲をカバーしています。当ブログでは、直近に発売された雑誌を中心に月1回のペースで「メディアウォッチ」を発信します。

 

GW真っ只中ですが皆さまどのようにお過ごしでしょうか?新年度がはじまってあっという間に1カ月が過ぎてしまいました。もしかしたら、この記事を空港や旅先で読んでいらっしゃる方も多いかもしれません。

 

今回ご紹介する『日経ビジネス』と、『日経WOMAN』の巻頭特集です。『日経ビジネス』は働き方改革の流れも汲み、労働環境を中心に社会構造を覆そうとしているAIの台頭に関して「動き出す無人経済」と題して特集を組んでいます。そして『日経WOMAN』は、心機一転スタートしたい新年度ならではの「片づけ」特集です。

 

どちらも一見関係のないトピックのように見えますが、私たちの生活で求め続けられているテーマのひとつ効率化を共通項に挙げ、ライフスタイルの変化の中でより生きやすく、生産性を上げていくために私たちが考えるべきこと、実践すべきことを、具体的な事象を挙げながら伝えています。

 

日経ビジネス』 

 

どんな媒体?



先月ご紹介した『週刊ダイヤモンド』の続き、三大経済紙(『週刊ダイヤモンド』、『日経ビジネス』、『週刊東洋経済』の中から、『日経ビジネス』をご紹介します。来年2019年には創刊50周年を迎えますが、『日経ビジネス』は、週刊ビジネス誌の中で26年連続読者数No.1を獲得しており、2016年1月~12月の発行部数では19万部を記録しました。

 

毎週月曜日に発売される週刊誌で、40代~50代のビジネスにおける意思決定権を持つリーダー層がコア読者であり、おおよそ70%を占めています。そのうちの22.4%はトップエグゼクティブ層(経営者・役員クラス)となっています。朝の電車の中でもスマホで『日経ビジネスオンライン』をチェックしている人をよく見かけますが、2017年11月の時点で会員数は247万人を超えています。

 

  • 日経ビジネス』の読者アンケートによると、購読の理由として「自分の仕事におけるアイディアやヒントを得る」と答えた方がおおよそ70%を占め、ダントツで多かったのですが、「経営者やマネージャーとしての判断材料の参考にする」という回答も45%を占めており、ここからもビジネスに決定権をもつ経営層・リーダ層が読者のコアにあることがうかがえます。『日経ビジネスオンライン』では「最近のビジネストレンド動向」が70%を占めている一方で、「話題のキーパーソンや著名経営者の考え」を参考にしている人が47.8%など、こちらもリーダー層に響く内容が求められているという側面が数字に顕著に現れました。

 

・今回のテーマ

2018年4月16日発売号

 

「動き出す無人経済」

・ハイライト

 

特集前半部分では、人間にしかできなかった知的労働を機械、つまりロボットが担い始めめた実情を各社のAI活用の導入例をもとに紹介しています。どの企業も導入例の中でハイライトとして語られるポイントは、AIを導入したことによる大幅な業務の効率性の向上、及び人間の代替による業務量・時間の削減達成ですが、もうひとつ注目すべき側面として、自発的に「考える」ことができるようになったAIにより奪われてしまう人間の優位性です。

 

特集後半部分では、早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問の野口悠紀さん(『「超」整理法』『ブロックチェーン革命』著者)が「無人企業も現実の中、本当に破壊的な栄光を受けるのは、経営者や管理職」と述べており、その根拠としてブロックチェーンの技術により経営層が担う業務に関し、圧倒的な透明性の高さとデータ改ざんが難しいという機能が彼らの仕事を奪ってしまうとしています。要は彼らが行ってきた契約や稟議、根回しなどが必要でなくなる中、無人企業の実現もそう遠い未来ではなく、早期の対応を図るべきと提案しています。野口氏は対応策として「無人経済を生き抜く5条件」を挙げていますが、その中でも「無人化に向けた最新技術の早期の導入」と「デジタルの専門家の配置」をハイライトとしており、つまり、人の仕事を機械が奪うという発想ではなく、専門家を配置し最新技術を導入することで、AIと人との能力の相乗効果を生み出すことが重要であると提案しています。

 

・なぜ今このテーマなのか?

副業解禁に伴い、働き方改革の流れは新聞で目にしない日はなく、毎号ビジネス誌、そして女性誌にも必ず挙がるトピックのひとつとなりました。2015年頃より、AI技術は読者にとってAI将棋や自動運転、飲食店のロボットなど技術の開発面と、人手不足の解消に関して扱ったトピックが多かったのですが、最近ではAIが人の雇用を奪っていくとうい文脈が大変多くなってきており、今回の『日経ビジネス』ではその影響が経営層にまで及ぶという視点で言及している切り口が大変興味深かったです。

 

昨年12月20日に発表されたエンジャパンによるアンケート調査「AI導入でなくなる仕事、なくならない仕事」では、AIを導入してなくなる職種として、「経理・財務・会計系」(42%)、「一般事務・秘書・アシスタント系」(41%)、「コールセンター」(37%)が上位を占めました。一方で、AIを導入してもなくならない職種として、77%でトップを占めたのが「経営者・COO・経営幹部」でした。

 

このように、まだまだ一般のみなさんと専門家の間でAI台頭の労働環境への影響に関し、感じ方には乖離があるのが現状ですが、身の回りを見回してみると無人化レジなど、ここ1年~2年で確実に私たちの生活が変化しています。毎年公開される総務省の情報通信白書〈リンクを貼る〉にもAIについての記述と国の取り組みが発表されているので、ぜひ読んでみてください。

 

日経WOMAN

 

どんな媒体?



1988年に創刊され、30年の歴史を持つ働く女性向けのビジネス誌ですが、コンセプトは「”仕事も暮らしも自分らしく”と願う30代を中心とした働く女性たちに」と掲げた月刊誌です。今年は記念すべき30周年のアニバーサリーイヤーなので、表紙タイトルに30周年のロゴが毎号入っています。読者のライフスタイルで特徴的なのが、独身が64.2%(内訳:ひとり暮らし30.5%、親と同居28.9%)で、キャリアアップがライフスタイルの中心になっているように見えますが、読者の声としては、オンとオフのバランスは5:5で、仕事とプライベート、どちらも大切にしたい女性であり、彼女達が求める情報をキャリアだけでなく、ライフスタイルから総体的に毎号提案しています。

 

また、『日経WOMANオンライン』もキャリアだけでなく、美容・ヘルス(『日経Health』からの記事も多数あり)、マネーのカテゴリーが充実しており、25歳~34歳の読者層の女性のライフスタイルに一歩踏み込んだ視点で情報を得るためのソースとして活用されています。中でも、メールマガジンは平日毎日配信されおり、午前7時台前半に配信されているので通勤途中に目を通し、今どのような話題をキャリア女性が求めているのか理解することができるツールのひとつとなっています。女性向けサービスなどに携わる方や、女性の働き方改革に対するリアルな声が多数掲載されているので、経営層や商品・サービス企画担当者の方は読んでいらっしゃる方が多いのではないでしょうか?

 

・今回のテーマ

2018年4月7日発売 5月号

「頑張らない!片づけルール」

 

春に発売される媒体の特徴として、特に20代~30代の女性をターゲットとしたメディアでは、新年度をすっきりスタートさせたい!という読者心理のニーズを元に、「片付け」「インテリアのアレンジ」「捨てる技術」などのテーマが、毎年春に特集される傾向があります。ちなみに『日経WOMAN』の昨年(2017年)4月号は、「忙しい働き女子の片づけ&収納」の特集となっています。

 

日経WOMAN』の片づけ特集の傾向として、ただ片づけるテクニックなどを伝えるだけでなく、読者のライフスタイルを考えた時に、何よりも効率性を重視することで、自分の時間の捻出や、キャリアアップを目指す女性が、ライフスタイルを更にタイムマネジメントしやすくする方法などを具体的に提案しています。今回は、「頑張らない!片付けルール」という特集タイトルからもわかるように、読者層の「忙しくて時間がない、でも片づけをしたい」という日々悶々と抱えてしまう悩みに具体的な例を示しながら紹介しています。

 

日経WOMAN』の記事では毎号特集に沿って、そのテクニックなどを実践している人物を多く挙げる傾向にあります。その中から自分に近い「ひとり」をロールモデルとし、自分ごと化しやすいと感じる方も多いのではないでしょうか? 片付け特集は年末にも特集される傾向があり、例えば昨年の12月巻頭特集は「部屋を片付けると、お金が勝手に貯まる」というタイトルで、年末の大掃除のタイミングを切り口に、1年に2回片付けに関する特集が組まれました。このように片付けとマネーを結びつけたコンセプトなど、『日経WOMAN』ならではの、働く女性のニーズを汲んだテーマは、キャリアアップを目指す女性の生き方を垣間見ることができる貴重な媒体のひとつです。

池永 千鶴

化粧品メーカー等の商品企画を経て入社。主にB2Cのプロジェクトを担当。ブランド、商品、サービスの情報を広く認知させることだけでなく、「そのブランドのファン、企業のファン」となってもらうべく、市場参入時を含め、長期に渡る継続的成長を促す戦略構築を行う。