老舗肌着メーカー初のD2Cブランド立上げに伴走

白鷺ニット工業は、兵庫県姫路市を拠点として、暮らしに根ざした実用的な肌着を50年以上に渡り、商品企画から素材選定・開発、製造工程など細部にまでこだわって製造・販売するメーカーです。

防寒肌着などの機能性肌着を主力商品とし、全国の量販店へリーズナブルな価格で卸売をし、商品展開をしていました。

しかし近年、機能性インナーウェアの進化とともに、市場環境は大きく変化。大手カーの参入で価格競争が激化し、顧客の嗜好も多様化するなど、肌着・インナーウェア業界は大きな転換期を迎えていました。

そこで、彼らの企画力と高い品質を維持する商品力を活かし、これまで接点の無かった若い女性をターゲットにした直販ブランドを持ち自社で商品を流通させることのできるチャネルを強化したいと考えるようになりました。

当社では、この新ブランドの立上げに伴う、商品開発、ブランド・コミュニケーション戦略策定、クリエイティブディレクション、オンラインストア制作、PR・マーケティングをトータルサポートしました。最初の相談から約1年間に渡る綿密な打ち合わせを重ねて2020年1月に新ブランド「HAKURO」をローンチしました。

・ブランド戦略

ブランドコンセプト、ターゲットペルソナの開発、マーケティングプランの設計のディレクションを行いました。また、当社でも試作品の試着、および市場リサーチを繰り返し、ブランドコンセプトに沿った商品開発もサポートしています。

・クリエイティブディレクション

ブランド名、ブランドアイデンティティの策定、ロゴやキービジュアル、コンセプトブックや梱包パッケージ、ECサイトなど、ブランドに関する全てのクリエイティブディレクションを行いました。洗練された世界観をつくり消費者の体験を統一するため、シールや商品タグなどの細部にまでこだわって制作しています。

制作にあたっては、HAKURO独自の世界観やイメージを共有するため、商品の特徴と女性の生き方を重ねた「なめらかに着て、しなやかに生きる。」というタグラインを体現したクリエイティブを制作しました。成熟した女性のボディラインや仕草の美しさを捉え、身体や生活にフィットする肌着の特徴を伝えています。

・PR、マーケティング

新商品の本格販売を前に、定めたペルソナに合わせて、まずはブランドの想いに共感するファンの獲得をめざして、正式ローンチ前の2019年12月にMakuakeにてクラウドファンディングを実施しました。

また、販売後はブランド開発にかける想いや、「肌のために肌着を選ぶ」という考え方を提案するブログメディアnoteでも記事を定期的に配信しました。その他、SNS運用など、オウンドメディアを含めてトータルでコミュニケーションを設計・運用しています。

新ブランドの立上げに際して、まずはアンケートを実施しました。肌着、つまりインナーウェアは量販店や大手スーパーで季節ごとにまとめ買いを行っているケースが多く、「なんとなく、これでいい」と肌着を選んでいる方が多くいることがわかりました。

肌着は人が生まれてから長く寄り添う存在であり、特にスキンケアを考えたときには肌着にもこだわるべき、という想いがあり、ディスカッションを重ねて「大人の女性の肌に寄り添う」というコンセプトが固まり、ペルソナ設定、商品開発へと進んでいきました。

クリエイティブ全体を一貫してディレクションしたことで、広告やオンラインストアでのブランドとの出会いから、商品が到着しパッケージを開き、袖を通すまでの一連の体験を通じ、ブランドの世界観がしっかりと伝わることを意識し設計をすることができました。

なお、デザインについてはこちらのnoteにも掲載しています。

商品本格販売前にも関わらず、クラウドファンディングでは、30万円の目標額を約1日で達成し、最終的には167万円、143名の支援を受けることができました。また、Makuakeで多くの支援が集まったことをきっかけに、地元紙、全国紙でのメディア掲載も獲得しました。

掲載実績：日経MJ、朝日新聞、読売新聞（兵庫版）、FRaU、リンネル、Precious.jp、Mart、エル・ガール オンライン、Domani、ハルメク